彼らは一つ学年が違うだけで、見違えるほどに大人な対応をしてくれた。年が一つ上になると、これほどまでに成長するのかと、翠は彼らをまぶしく思った。自分もいつか、こんな風になれるのだろうかと。
 
 広いテーブル席で、食堂の料理担当のものが作ってくれた昼ご飯を食べていると、舞衣がすっと横に座った。

「あまり意気地になりなさんな」

 一時限目の体育の騒動のことを言っているのかとすぐに気がついた。

「お前らみたいな人間にはわかんねーよ」

 ふんと鼻を鳴らすと、舞衣は困ったように笑って「まーた、そういうこと言う」と頬杖をついた。

「あんたは普通扱いしてほしいのか、気遣ってほしいのか、どっちなのよ」
「どっちでもねーよ」
「曖昧だなあ」

 舞衣はそう言うと話題に興味を失くしたらしく、再び保険医の机のところに戻った。そして的場と楽しげな会話をしながら、チェックリストらしきものを作成している。翠は無言でご飯を口に入れた。

 舞衣は綺麗な女の子だ。