内海が双子の姉を連れて夕莉たちのクラスに来たのは、それから三日後のことだった。
あの保健室のにらみ合いなどすっかり忘れた頃、夕莉は初めて対面する一般クラスの生徒たちに、かなり緊張していた。
担任教諭が、「今日のふれあいトークは、ボランティア部の人が来てくれます」と滑舌のいい話し方でそう告げた際、クラス中に緊張のような、張りつめた空気が伝わった。皆、一般人に対して悪い印象しかないようだった。もともと大人しい人たちが集まった教室は、ますますしんと静まり返ってしまった。
「そんなに怖がるな。皆、誰かを助けたいという気持ちを持った子たちなんだから」
担任は苦笑しながら言った。それは理解しているつもりなのだが、どうしても、あの明るすぎる空気感が苦手だった。それは夕莉だけでなく、皆も思っているようだった。
そうこうするうちに、いよいよ時間が来てしまい、廊下に人だかりができた。一般クラスの生徒たちだ。夕莉は思わず身構えた。周りのクラスメイトも、不安そうに顔を見合わせている。
「ボランティア部の二年生が来てくれました。どうぞ」
担任が教室のドアを開けた。
七名ほどの男女を合わせた生徒たちが、ぞろぞろと入ってきた。その中で一人、ぽっと背の抜きん出た、スタイルのいい男子生徒が「あっ!」と、突然声を上げた。夕莉たちはビクリと飛び上がった。
「青花!」
重厚感のある低温ボイスに、夕莉は「あ……」と思い出した。
あの時の、「ベッド空きましたよ」と席を外した、目つきの鋭い男の子が、夕莉のことをまじまじと見つめていた。
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