真冬のランニングは気持ちがいい。冬は早朝がいいものだと枕草子が書いていたが、長い時を経た今の日本でも、それは当てはまるようだ。しんと冷えた空気に風が頬を撫で、吐く息が白く見える、一時限目の授業。翠は皆に遅れないように、走るスピードを調整しながら、夕莉のいるデイケア組の校舎の裏を周るため、生徒たちの後ろをついて行った。
下り坂に差し掛かり、草木の生い茂る裏道を慎重に走る。下りの走りは勢いがつくが、スピード調整が難しい。ここでバランスを崩す者も少なくない。自分もその一人なのだが。
今日は大丈夫。そう言い聞かせて、翠はチラッと、デイケア組の校舎を見た。
窓に目をやると、窓際の生徒たちのほぼ全員が、つまらなそうに頬杖をついて外を眺めていた。よっぽど退屈な授業なんだな、と翠はおかしくなった。
夕莉を探していた。無意識に。名字は最初だから、席替えをしていなければ、最前列の窓際の席のはずだ。注意深く視線を動かしたが、夕莉の姿は見えなかった。学校を休んでいるのだろうか。自分は今、実家にはいないので、妹の事情は分からない。
下り坂に差し掛かり、草木の生い茂る裏道を慎重に走る。下りの走りは勢いがつくが、スピード調整が難しい。ここでバランスを崩す者も少なくない。自分もその一人なのだが。
今日は大丈夫。そう言い聞かせて、翠はチラッと、デイケア組の校舎を見た。
窓に目をやると、窓際の生徒たちのほぼ全員が、つまらなそうに頬杖をついて外を眺めていた。よっぽど退屈な授業なんだな、と翠はおかしくなった。
夕莉を探していた。無意識に。名字は最初だから、席替えをしていなければ、最前列の窓際の席のはずだ。注意深く視線を動かしたが、夕莉の姿は見えなかった。学校を休んでいるのだろうか。自分は今、実家にはいないので、妹の事情は分からない。