佳純は別れを言った。買い物袋を見せて、思い切り笑った。彼を安心させるために。
長兄は何かをこらえるような表情で、無理に笑った。
「元気に暮らせ。聡子さんたちと幸せになれ」
「うん」
「今度こそ、俺たちを見返せよ」
「約束する」
佳純と長兄は、互いに手を振り合った。
血の繋がりは切れない。この先また、何かの因果で会うかもしれない。その時は、その時だ。いつか他人のように振る舞えたら、それが自分の救われる時だ。
門扉を開けて、玄関の扉を閉める間際まで、長兄は手を振り、佳純の姿を見届けてくれた。
家の中に完全に入り、彼の気配が消えた頃、佳純は、さようなら、と一言告げた。
○
気温が下がったなと、週末の天気予報を見て、佳純は夕莉に連絡しようかどうか迷っていた。
文化祭明けの学校は皆、何かに燃え尽きたような様子で、だらだらとした空気が流れていた。もっともその様子が顕著なのは本校舎の生徒たちで、デイケア組の地下の校舎にいる佳純たちは、いつもと変わりなかった。
大きな学校行事は終わり、あとは冬休みを待つだけとなった。
長兄は何かをこらえるような表情で、無理に笑った。
「元気に暮らせ。聡子さんたちと幸せになれ」
「うん」
「今度こそ、俺たちを見返せよ」
「約束する」
佳純と長兄は、互いに手を振り合った。
血の繋がりは切れない。この先また、何かの因果で会うかもしれない。その時は、その時だ。いつか他人のように振る舞えたら、それが自分の救われる時だ。
門扉を開けて、玄関の扉を閉める間際まで、長兄は手を振り、佳純の姿を見届けてくれた。
家の中に完全に入り、彼の気配が消えた頃、佳純は、さようなら、と一言告げた。
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気温が下がったなと、週末の天気予報を見て、佳純は夕莉に連絡しようかどうか迷っていた。
文化祭明けの学校は皆、何かに燃え尽きたような様子で、だらだらとした空気が流れていた。もっともその様子が顕著なのは本校舎の生徒たちで、デイケア組の地下の校舎にいる佳純たちは、いつもと変わりなかった。
大きな学校行事は終わり、あとは冬休みを待つだけとなった。