「うん、何とか」

 私たち、やっぱり似ているから。そう言いたげな夕莉の視線に、佳純は笑顔で返した。

「じゃあ、明日は文化祭の後片付け日だから、私たちは休みだね。明後日また学校でね」
「うん。バイバイ」

 夕莉は手を振ると、モノレール線乗り場まで改札を通っていった。

 バイバイ。さようなら。また明日。
 
 もう何度この言葉を伝えてきたのだろう。また明日会えるなんて、どうして思えるだろう。
 
 別れの言葉は、いつでも自分に過酷な試練を課してきた。
 
 もう、終わりだろうか。もう、言ってしまおうか。あなたの兄に恋をしていると。あなたの兄のことが好きだと。
 
 自分も、三学期から一般クラスに編入するつもりなのだと。

   ○

 待ち合わせ場所の駅のロータリーに行くと、長兄がすでに待っていた。

 約束の時間の五分前に到着したのだが、長兄はそれより早く待機していてくれたらしい。そばにいる時は気づかなかったが、離れてみてわかったことがいくつかある。彼は几帳面で時間には正確な人だった。