デイケア組に甘んじることは、翠にとって、許しがたい屈辱なのだろう。彼は佳純たちの組を出て行きたくなったのだ。夏央たちと出会ったあの日から。
○
佳純はそこまで聞くと、ベッドで寝込んでいる夕莉に真相を告げた。夕莉は泣きながらも、しっかりと兄の事情を聞きとっていた。
話を聞き終えると夕莉は一言「ごめん。弱くて」とか細い声で言った。佳純は曖昧な笑みだけを浮かべた。
夕莉が落ち着くまで、佳純は保健室で待っていた。
後夜祭を控えた空は、橙色の夕暮れを地平線に残して、青々と深くなっていた。夏央と冬華は周りとの付き合いがあるため、最後まで佳純たちに詫びながら、保健室を先に出て行った。
佳純は薄暗い青の空に佇む薄い雲を、窓越しに見上げながら、実家で暮らしていた頃の、広々とした空と重ね合わせていた。
「お兄ちゃんが、寮にまで入ったのは、私のせいだったのかな」
夕莉の声が途切れ途切れに聞こえたのは、後夜祭が始まって、皆の楽しそうなざわめきが聞こえ出した頃だった。
「私はずっと嫌われていたのかな」
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佳純はそこまで聞くと、ベッドで寝込んでいる夕莉に真相を告げた。夕莉は泣きながらも、しっかりと兄の事情を聞きとっていた。
話を聞き終えると夕莉は一言「ごめん。弱くて」とか細い声で言った。佳純は曖昧な笑みだけを浮かべた。
夕莉が落ち着くまで、佳純は保健室で待っていた。
後夜祭を控えた空は、橙色の夕暮れを地平線に残して、青々と深くなっていた。夏央と冬華は周りとの付き合いがあるため、最後まで佳純たちに詫びながら、保健室を先に出て行った。
佳純は薄暗い青の空に佇む薄い雲を、窓越しに見上げながら、実家で暮らしていた頃の、広々とした空と重ね合わせていた。
「お兄ちゃんが、寮にまで入ったのは、私のせいだったのかな」
夕莉の声が途切れ途切れに聞こえたのは、後夜祭が始まって、皆の楽しそうなざわめきが聞こえ出した頃だった。
「私はずっと嫌われていたのかな」