「彼とは連絡が途絶えちゃったけど、今でも忘れてない。私は決心して、そういう人たちの助けとなる仕事に就きたいと、思うようになったの。
 それでここの学校を見つけ出した。夏央も巻き込んで、このボランティア部に入ったの」

 冬華はそこまで言うと、過去の思い出から帰ってきたように、カラッと笑って、いつもの話し方に戻った。

「だから、あんたたちも大丈夫よ! 私たちがついているから」

 夕莉がもじもじとしていた。何か訊きたいことがあるのかと、彼女の肩をつつくと、夕莉は思いきったように尋ねた。

「あの、初めて私たちのクラスに来た時、兄と何を話していたんですか? 知り合いだったんですか?」

 おそらくこの質問をずっとしたかったのだろう、夕莉の切羽詰まった表情が横顔からわかった。佳純は隣で二人の反応を待った。

「ええとね……」

 冬華がそこでどもった。チラッと夏央の顔を見て、二人は言葉を濁しながら話した。