文化祭の日が近づいていた。一般クラスの校舎が華やかに飾り付けられるのを、佳純は下校のたびにぼうっと眺めていた。

 デイケア組のほうはいつもと変わらぬ毎日である。ただ夏央と冬華があまり顔を出せなくなっていた。
 
 祭りの一週間前になると、ボランティア部は準備期間のため部活動休止となった。夏央たちのいない午後の活動に、クラスはつまらなそうな空気になっていた。
 
 帰りの時刻が来て、校門をくぐろうとすると、そこには色とりどりの装飾がされてあった。ふと本校舎のほうを見上げると、学年ごとの垂れ幕が存在感を露わにしていた。その見事な仕上がりに佳純と夕莉は圧巻した。

「わあ、すごく盛り上がりそう」
「本当に小学校と違うんだな……」

 夕莉が呆けたようにつぶやくと、佳純はおかしくなって彼女の腕を組んだ。

「夏央先輩たちからまだ連絡ないね。忙しいのかな」

 佳純がそう言うと、夕莉はチラッと視線をやった。

「文化祭、先輩たちと周れなくても、一緒に出ようか」