自分たちは社会の足枷なのだと。自分たちこそが社会のゴミなのだと。まともに学校へ行くこともできない。役目を果たすこともできない。与えられた仕事もきちんとこなせない。
 
 翠はすべてを理解した。
 
 いつか死のう。こんな思いをするくらいなら、この世から消えたほうがよっぽどましだ。社会のためにもなる。

 妹を巻き込んだのは、一人で死ぬのが心細かったからだ。
 しょせん自分は、一人では生きることも死ぬこともままならないのだ。
 
 それから彼女はたびたび翠に愛を問うてきた。
 私のこと好き? 私は一人じゃない? 
 翠は何も言えず、適当な返事だけをした。
 妹をこんな風にしたのは、自分だ。
 
 育ててくれた親に対する罪悪感はあったが、自分が立派な大人になる瞬間はまったくと言っていいほど想像がつかなかった。
 年を取ってぶくぶくと肥えても、親のすねかじりの身分に甘んじている未来は容易に想像できた。
 
 自分は、あまりにもポンコツな人間だった。