翠はその輪には入れなかった。初めからわかっていたことだったが、胸を締め付ける何かが緩むことはなかった。一瞬でも油断をすれば、深い悲しみの落とし穴に突き落とされてしまいそうだった。名前もない何かに。
翠は身体を丸めて、早く眠気が来ることを願った。
真っ暗な部屋の中で目をつむると、押し寄せる何か底のない感情が、漂ってきた。その言いようのないモヤモヤは、翠を囲って離さなかった。そこから逃れるために、周りの皆に負けないように、成績だけは上げたかった。
寝つきの悪い体質のせいで、なかなか眠れなかったが、何とか朝を迎えた。
○
定期試験の年間成績表が、生徒たちに配られた。
まだ三月の期末が残っているが、春から二学期の終わりまでの総決算が一月末に送られるのが、この学校の小さな行事だった。
プリントをめくると、上位十名までの成績優秀者が、学年ごとに表紙に乗っていた。
翠は身体を丸めて、早く眠気が来ることを願った。
真っ暗な部屋の中で目をつむると、押し寄せる何か底のない感情が、漂ってきた。その言いようのないモヤモヤは、翠を囲って離さなかった。そこから逃れるために、周りの皆に負けないように、成績だけは上げたかった。
寝つきの悪い体質のせいで、なかなか眠れなかったが、何とか朝を迎えた。
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定期試験の年間成績表が、生徒たちに配られた。
まだ三月の期末が残っているが、春から二学期の終わりまでの総決算が一月末に送られるのが、この学校の小さな行事だった。
プリントをめくると、上位十名までの成績優秀者が、学年ごとに表紙に乗っていた。