翌日から普通に授業を受ける。
基本的には座学で、基礎と歴史の続きだ。
ハッキリ言ってつまらない。
というのは、俺以外も思っているに違いない。
歴史はさておき、基礎が重要だと理解していても、すでに熟知している身としては退屈だ。
「魔術の基本は魔力コントロールだ。ここを勘違いする魔術師は大成しないからな」
と、先生が熱弁している。
師匠から散々教えられたことだ。
今さらはき違えることはない。
「ふぁ~」
失礼だとわかっていても、無意識に欠伸が出てしまう。
対してシトネたちは熱心だな。
先生の話を聞きながら、ちゃんとメモをとっている。
三人ともこれくらいの内容なら、とっくに熟知しているだろうに。
「真面目だな~」
「あれ? リンテンス君はメモとらないの?」
「俺もちゃんと聞いてるよ。知らない内容だったらメモするけど」
「そうなの? 私は一応メモだけしているけど」
「知ってることはいらないんじゃないか?」
「う~ん、そうなのかな~」
と二人で話していると、それに気づいた先生がこちらを向く。
「そこの二人! 私語は慎みなさい!」
「あっ、ご、ごめんなさい!」
「すみません。気を付けます」
「やれやれ」
シトネはびくりと反応して、慌てて頭を下げていた。
隣でグレンは、俺たちを呆れた顔で見ている。
退屈な授業には良い刺激になったかな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
午前中の授業が終わり、昼休憩の時間になる。
生徒たちはパラパラと歩き出し、教室を出て行った。
「俺たちも食堂にいくか」
「うん!」
俺とシトネ、グレンとセリカも一緒に一階の食堂へ向かう。
昼食はここで食べる決まりになっていて、厨房ではせっせと料理を作っている。
メニューから何か注文する生徒もいれば、自分で作ってくる生徒もいて、こういう場所でも個性が出るな。
ちなみに俺とシトネは……
「ほい、シトネの分」
「ありがとう!」
俺はお弁当をシトネに手渡した。
手作りの弁当を開けて、一緒に手を合わせて「いただきます」を言う。
さぁ食べようと口を開いたとき、目の前から視線を感じる。
「何だよ」
「いや凄いな。弁当まで自分で作っているのか。それもシトネさんの分まで」
「まぁな」
一人暮らしの影響か、料理は日課になってしまった。
そんなに嫌いじゃないし、苦にはならない。
むしろシトネが美味しそうに食べてくれるから、毎日張り切ってしまうことも。
「とーっても美味しいんだよ!」
「ああ。前にいただいた昼食も良かったな。料理も出来るなんて憧れるよ」
「よしてくれ」
料理を覚えた経緯を考えたら、とても褒められることじゃないからな。
仕方なくというのが正解だ。
「そうだ! 今度僕たちの分も作ってきてくれないかい?」
「え、嫌だけど」
「うっ……即答とは」
だって面倒だし。
という本音は口にせず、黙ってパクパク食事を続ける。
すると、グレンは悪戯をしかける子供ようのに笑い、俺を見ながら言う。
「そうか、なるほど……シトネさん以外に自分の弁当は作らない、ということだね」
「は? 何言って」
「いや良い、わかっているさ。彼女は特別なんだね」
「っ! ごほっ……」
シトネがビックリしてむせてしまった。
グレンがそんな冗談を言うなんて。
まるで師匠みたいだと思って、俺は呆れ顔をする。
「やれやれ。というか、お前はセリカに作ってもらえば良いだろ」
「ん、あーそうだね。でもセリカも忙しいから、余計な仕事を増やすのは忍びないな」
俺ならいいのか?
グレンの奴、中々良い性格しているな。
ちょっとずつ素が出てきたらしい。
「心配いりません。グレン様がお望みであれば、昼食は私が用意いたします」
「本当かい? じゃあ明日は頼むよ」
「かしこまりました」
淡々と会話を進める二人。
もっと慌てたり、恥ずかしがることを期待したのだが……
からかうつもりで失敗したようだ。
「あーそうだ。来週から実技訓練が始まるそうだけど、チームはどうする?」
「チーム?」
「何だ? もしかして聞いていなかったのかい?」
朧げに覚えているような……いないような。
グレンに言われて思い出そうとしているが、ピンとこない。
そんな俺に呆れたグレンが、ため息交じりに説明する。
「実技訓練は三人以上のチームで受ける決まりだ。来週までに各々でチームを組むよう言われていただろう?」
「そうだったけ? シトネは知ってた?」
「うん」
「あ、そう……」
普通に聞き漏らしたな。
「魔術師はチームで行動することが多いからね。その一環だろう」
「それは知ってる」
魔術師団の任務でもそうだった。
単独で任務にあたるのは、魔術師でもごく一部。
それこそ師匠のような人だけだ。
「で、どうする?」
「この四人で良いんじゃないか?」
「最大五人だけど、一人は追加しなくていいかな?」
「必要ない。ここにいる四人で十分最強のチームだろ」
「ははっ、確かにね」
グレンはたぶん、わかっていて尋ねたのだろう。
俺に直接確認して、口で言わせるために。
本当に良い性格しているよ。
基本的には座学で、基礎と歴史の続きだ。
ハッキリ言ってつまらない。
というのは、俺以外も思っているに違いない。
歴史はさておき、基礎が重要だと理解していても、すでに熟知している身としては退屈だ。
「魔術の基本は魔力コントロールだ。ここを勘違いする魔術師は大成しないからな」
と、先生が熱弁している。
師匠から散々教えられたことだ。
今さらはき違えることはない。
「ふぁ~」
失礼だとわかっていても、無意識に欠伸が出てしまう。
対してシトネたちは熱心だな。
先生の話を聞きながら、ちゃんとメモをとっている。
三人ともこれくらいの内容なら、とっくに熟知しているだろうに。
「真面目だな~」
「あれ? リンテンス君はメモとらないの?」
「俺もちゃんと聞いてるよ。知らない内容だったらメモするけど」
「そうなの? 私は一応メモだけしているけど」
「知ってることはいらないんじゃないか?」
「う~ん、そうなのかな~」
と二人で話していると、それに気づいた先生がこちらを向く。
「そこの二人! 私語は慎みなさい!」
「あっ、ご、ごめんなさい!」
「すみません。気を付けます」
「やれやれ」
シトネはびくりと反応して、慌てて頭を下げていた。
隣でグレンは、俺たちを呆れた顔で見ている。
退屈な授業には良い刺激になったかな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
午前中の授業が終わり、昼休憩の時間になる。
生徒たちはパラパラと歩き出し、教室を出て行った。
「俺たちも食堂にいくか」
「うん!」
俺とシトネ、グレンとセリカも一緒に一階の食堂へ向かう。
昼食はここで食べる決まりになっていて、厨房ではせっせと料理を作っている。
メニューから何か注文する生徒もいれば、自分で作ってくる生徒もいて、こういう場所でも個性が出るな。
ちなみに俺とシトネは……
「ほい、シトネの分」
「ありがとう!」
俺はお弁当をシトネに手渡した。
手作りの弁当を開けて、一緒に手を合わせて「いただきます」を言う。
さぁ食べようと口を開いたとき、目の前から視線を感じる。
「何だよ」
「いや凄いな。弁当まで自分で作っているのか。それもシトネさんの分まで」
「まぁな」
一人暮らしの影響か、料理は日課になってしまった。
そんなに嫌いじゃないし、苦にはならない。
むしろシトネが美味しそうに食べてくれるから、毎日張り切ってしまうことも。
「とーっても美味しいんだよ!」
「ああ。前にいただいた昼食も良かったな。料理も出来るなんて憧れるよ」
「よしてくれ」
料理を覚えた経緯を考えたら、とても褒められることじゃないからな。
仕方なくというのが正解だ。
「そうだ! 今度僕たちの分も作ってきてくれないかい?」
「え、嫌だけど」
「うっ……即答とは」
だって面倒だし。
という本音は口にせず、黙ってパクパク食事を続ける。
すると、グレンは悪戯をしかける子供ようのに笑い、俺を見ながら言う。
「そうか、なるほど……シトネさん以外に自分の弁当は作らない、ということだね」
「は? 何言って」
「いや良い、わかっているさ。彼女は特別なんだね」
「っ! ごほっ……」
シトネがビックリしてむせてしまった。
グレンがそんな冗談を言うなんて。
まるで師匠みたいだと思って、俺は呆れ顔をする。
「やれやれ。というか、お前はセリカに作ってもらえば良いだろ」
「ん、あーそうだね。でもセリカも忙しいから、余計な仕事を増やすのは忍びないな」
俺ならいいのか?
グレンの奴、中々良い性格しているな。
ちょっとずつ素が出てきたらしい。
「心配いりません。グレン様がお望みであれば、昼食は私が用意いたします」
「本当かい? じゃあ明日は頼むよ」
「かしこまりました」
淡々と会話を進める二人。
もっと慌てたり、恥ずかしがることを期待したのだが……
からかうつもりで失敗したようだ。
「あーそうだ。来週から実技訓練が始まるそうだけど、チームはどうする?」
「チーム?」
「何だ? もしかして聞いていなかったのかい?」
朧げに覚えているような……いないような。
グレンに言われて思い出そうとしているが、ピンとこない。
そんな俺に呆れたグレンが、ため息交じりに説明する。
「実技訓練は三人以上のチームで受ける決まりだ。来週までに各々でチームを組むよう言われていただろう?」
「そうだったけ? シトネは知ってた?」
「うん」
「あ、そう……」
普通に聞き漏らしたな。
「魔術師はチームで行動することが多いからね。その一環だろう」
「それは知ってる」
魔術師団の任務でもそうだった。
単独で任務にあたるのは、魔術師でもごく一部。
それこそ師匠のような人だけだ。
「で、どうする?」
「この四人で良いんじゃないか?」
「最大五人だけど、一人は追加しなくていいかな?」
「必要ない。ここにいる四人で十分最強のチームだろ」
「ははっ、確かにね」
グレンはたぶん、わかっていて尋ねたのだろう。
俺に直接確認して、口で言わせるために。
本当に良い性格しているよ。