ハッと息をのんであたしたちを見つめ、それから警戒するように身構える。


一体なんだというのだろう?


まるでこちらが悪いことをした雰囲気を感じて、ムッとしてしまう。


それを察したのか、弥生があたしの肩をつついてきた。


「久藤さん、今みなさんで自己紹介をしているんです。久遠さんの番です」


松野さんが丁寧に説明すると、久遠さんはようやく理解したように「あぁ」と、小さく頷いた。


「久藤辰哉(クドウ タツヤ)です」


ボソボソとこもった声で言い、またうつむいた。


それ以上の自己紹介をする気はないようで、あたしと弥生は目を見かわせる。


やっぱりあの人はなにか変だ。


協調性も人への関心もないように見える。