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あたしと弥生と弘子の3人でポインセチアの間に入るとそこはガランとしていた。


客間として使われている雰囲気は少しもない。


「小沼さん、この部屋は使ってなかったみたいだね」


弥生がクローゼットと開くと中は空だった。


客間として使っているように見せかけてはいたけれど、自分はオーナー用の部屋にでもいたのだろう。


「あたしたち部屋であれだけ大声出してたけど、小沼さんには聞こえてなかってことだね」


弥生の言葉にあたしは肩をすくめて部屋を出た。


客間を通り過ぎて奥にあるのがオーナーの部屋だ。


鍵がかけられているかもしれないと思ったが、ドアはすんなり開いた。


オーナーの部屋は客間の倍くらいの広さがあり、トイレも風呂も完備されている。


こちらには生活感があり、テレビ台の上に無造作に置かれたスペアキーを見つけた。


「あった」


手にとり鍵を確認する。


確かに自分たちが使っている部屋のスペアで間違いなさそうだ。


あたしたち3人は他に証拠になるようなものがないか部屋の中を探し始めた。


すると引き出しを調べていた弘子が「これ!」と、声をあげた。


駆け寄って確認してみると、それは隣県の銀行の見取り図だったのだ。


「これ、一か月前に銀行強盗があったところじゃん!」


弥生が驚きの声を上げる。