最後まで言い終えると小沼さんが大きなあくびをした。


「お譲ちゃんたちの探偵ごっこは楽しかったけど、トリックも動悸も中途半端だな。そんなんじゃ殺人犯はすぐに逃げ出すぞ」


小沼さんはバカにしたような口調で言い、笑う。


「それなら、小沼さんの部屋を確認させてください」


そう言ったのは弥生だった。


弥生の言葉に小沼さんの顔色が変わる。


「どうしたんですか? 見られてまずいものでもあるんですか?」


「プ、プライベートな空間だろ!」


小沼さんが怒鳴った瞬間、松野さんが動いていた。


小沼さんの右腕をひねり、床に倒れ込んだ小沼さんの背中にのしかかったのだ。


突然の行動にこちらも驚いた。


「今のうちに小沼さんの部屋を調べてください!」


「てめぇ松野! こんなことしてただで済むと思ってんのかよ!」


ついに本性を現したように、口汚く罵り始める。


それでも松野さんは体勢を崩さなかった。


「早く行って!」


その声にせかされて、あたしたちはポインセチアの間へ向かったのだった。