昼食が終わる頃、あたしは全員に食堂に残ってもらうようにお願いした。


弘子は憔悴しているのかほとんどご飯に手をつけなかった。


小沼さんは特に挙動不審になることもなく椅子に座り、松野さんは居心地が悪そうに端に立っている。


「話ってなに?」


弘子の質問にあたしは頷く。


「すぐ終わるから」


そう言って小沼さんへ視線を向ける。


「今朝の事件についてです」


『事件』という言い方をしたことで、小沼さんが一瞬眉を動かした。


しかし、大きなリアクションはない。


「久遠さんのこと? 事件ってどういうこと?」


反応したのは弘子だ。


この中では1人だけ何も知らない状況だから、戸惑っている。


「久遠さんは自殺じゃありませんでした」


ハッキリとした口調で伝えると、弘子は目を見開いて唖然とした表情を浮かべる。