ひと目を気にしなきゃならないようなことをしていたということだ。


「もう1つ、質問をいいですか?」


「なんですか?」


ここまで来たら何でも話してやろうという気になっているのか、松野さんは割りきった表情をこちらへ向けた。


「久遠さんはどういう目的でこのペンションに泊まりに来たか、ご存じですか?」


「確か、なにかを探すと言っていたのを覚えています。来られた時に少し会話した程度ですけど」


探し物……?


クローゼットの中にあったスコップを思い出す。


久遠さんはなにかを掘り起こそうとしていたということ?


「それ以上のことは、僕にはなにも」


松野さんがそう言い、左右に首をふる。


久遠さんが死んだこと、しかも他殺かもしれないということで疲れも出ているのだろう。


あたしたちはそっと料理室を辞退したのだった。