「だって、あのスコップってこのペンションのものでしょう? 小沼さんのものなら、自分の部屋に取りに入るはずだもん」


「あ……」


そう言われればそうだ。


あの時小沼さんは自分の部屋には入らず、他の場所へスコップを探しに行っていた。


戻ってくるまでに5分くらい時間があったから、間違いない。


「以前にもここの泊まっていて、備品の場所を知っていたからとか?」


「そうかもしれない。でも、ここへ来て電話がかかってきたときも小沼さんが出たよね?」


「そうだった……」


雪のせいでオーナーが来られないという電話の時だ。


このペンションの関係者はシェフの松野さん1人なのに、なぜか客である小沼さんが出ていた。


あたしと弥生は目を見かわせてゴクリと唾を飲み込んだ。


「松野さんに話を聞いた方がよさそう」


「うん」


弥生の言葉にあたしも大きく頷いたのだった。