あたしと弥生の2人は再び久遠さんの部屋にやってきていた。


今まで気がついた他になにか妙なところがないか探しているのだ。


「ちょっとだけ、クローゼットを開けさせてもらおうか」


ずっと気になっていたことがあり、あたしはそう言った。


久遠さんはなんの目的でここへ来たのか?


それがずっと引っ掛かっていた、


スキーをしに来たという雰囲気でもなかったし、きっと自殺目的でもなかった。


それじゃ一体なにを目的にしていたのだろう?


クローゼットを開くとそこには何着か服がかけられていて、足元には大きな布製のバッグが置かれていた。


バッグの横には服を入れてきたのだろう、トランクも置かれている。


「なにこのバッグ」


あたしはかがみ込んで確認する。


トランクより大きなバッグだが、膨れていない。


触れてみると中には硬いものがはいっているのがわかった。


「中を確認してみよう」


ここまで来て引き下がるわけにはいかない。


警察には後でちゃんと謝っておけばいい。


そう判断してあたしは思い切ってバッグを開いた。


中から出てきたのは組み立て式のスコップだ。