「待ってよ紗也香。それは無理だよ」


弥生があたしの隣に立ち窓を開けて見せた。


その瞬間気がついたことがあり「あっ」と声を上げる。


「ね。このペンションは雪山だから、それに備えて二重窓になってるんだよ」


窓を開けると、その奥にまた窓。


これじゃ糸を使って鍵をかけることは不可能だ。


あたしはふぅーと大きく息を吐き出してベッドに座り込んだ。


これで犯人が雨どいを伝って2階へ逃げたという推理も破たんする。


弘子が犯人から除外されたことを安堵しつつも、また振り出しに戻ってしまった。


もう1度、いちから出なおしだ。