しかも外は雪。


窓から逃げ出したとすればこの雪をどかさなければならない。


でも、中から見る限りそんな形跡はなかった。


「さっぱりわからないよ」


他に人の相談した方がいいんじゃないかと思うが、安易に他殺だなんて考えを口に出すことも憚られた。


もしかしたら、このペンションの中にまだ犯人が潜んでいるかもしれないのだから。


「犯人がいたとして、どこから逃げればいいんだろう……」


あたしは呟き、窓の外を見つめた。


あたしたちが部屋に入ってきたとき、その窓の鍵がどうなっていたのかはわからない。


でも、木が折れたことで雪が半分窓をふさいでいるところはこの目で見ているのだ。


てんでわからなくて窓に顔をくっつけたときだった。


灰色の筒が窓の下へと延びているのが見えた。


上を見上げると雨どいがある。


「たてどいってやつだね」


弥生が横にやってきて確認する。


「これってさ、途中で金属があるよね?」


雨どいを固定するために必要なものだ。


「それって、登れないのかな?」


あたしの言葉に弥生は驚いたように目を見開いた。