氷の間は相変わらず久遠さんの遺体が横たわっていた。


窓へと近づいてみると異臭が激しくなる。


あたしは手で鼻と口を覆って窓枠を確認した。


特に血がついている様子はない。


「やっぱり、窓枠には触ってないみたいだよ」


窓の近くは凍えるほど寒くて、すぐに身を離した。


「でも、ロープにも血はついてないみたい」


窓のすぐ近くに置かれているロープを確認して弥生が言う。


窓枠にもロープにも血はついていない。


じゃあ、いつどこで久遠さんは指を怪我したんだろう?


自殺するもっと前だとすると、絆創膏くらいは張りそうなものだけど……。


「怪我もそうだけど、密室ってところも気になるよね」


弥生が言う。


確かに、これが他殺だとすれば密室殺人事件ということになるのだ。