その時、違和感が胸を刺激した。


さっきチラリとしか見なかったけれど、久遠さんの指は赤く染まっていた。


あれはなんだったんだろう?


1度気になってくると落ち着かない。


あたしはベッドから抜け出した。


「どこに行くの?」


「ちょっと、隣の様子を見てくる」


「隣ってまさか久遠さんの部屋?」


頷くと、弥生が驚いて飛び起きた。


「なんで? まだ部屋にあるんだよ!?」


部屋になにがあるのかは聞かなくてもわかった。


久遠さんの遺体のこと言っているのだ。


あたしは頷く。


「なんか変だなって思ったことがあるの」


「変ってなにが?」


「久遠さんの死体」


「だからってまたあの部屋に入るの?」


弥生は必死であたしを止めようとしている。


「少し確認するだけだから」