懐中電灯を2つ持って雪の間へ戻ると、弥生がベッドの上で丸くなっていた。


あたしは部屋に鍵をかけ、近づく。


「弥生、大丈夫?」


懐中電灯を付けてベッド脇のテーブルに置き、声をかけた。


「平気……」


布団を頭まで被っているせいで、その声はくぐもっている。


あたしは暖を取るため、弥生と同じように布団にもぐりこんだ。


「電話、通じないんでしょう?」


「うん……」


「スマホも圏外になってた」


「うん。たぶん雪の影響だと思う」


「久遠さんをどうするの?」


その質問には答えられなかった。


小沼さんは必死に声をかけていたけれど、久遠さんはきっと助からない。


部屋に入った瞬間感じた異臭は、久遠さんの糞尿だったのだろうから。


「どうして自殺なんてしたんだろう」


なにか話していないと落ち着かないのか、弥生が言葉を重ねる。