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「すみませーん」


ペンションに入ってすぐは大きなエントランスがあり、丸くて赤い絨毯が敷き詰められていた。


タタキがないため、土足で入っていいのかどうかわからず立ちどまってしまう。


するとすぐに1人の男性が出てきてくれた。


料理人の着ている制服を着ている。


「はい」


小柄な男性はあたしと弥生を交互に見つめた。


「あ、あの、あたしたち予約していた柴本といいます」


あたしは早口で男性に説明した。


すると男性は一旦奥の部屋へと戻り、名簿らしきものを持って戻ってきた。


「柴本さまですね。お伺いしています。どうぞ、こちらでスリッパに履き替えて広間へ来てください」


男性に言われてあたしと弥生は白いふかふかとスリッパに履き替えた。


絨毯を踏むと足が沈みこんでしまうくらいふかふかだ。


「すっごく高そうだね」


弥生は真剣な表情で絨毯を品定めしている。


男性に言われたとおり、入ってすぐの右手にある広間へと向かう。


観音開きの大きな扉を開けると、暖かな空気が流れてきた。