テーブルに手をついてどうにか立ち上がった、その時だった。


突然外からバキバキと大きな音が聞こえてきて、全員の視線が窓へと向いた。


雪で半分埋まってしまっている窓の向こうで、何かが横倒しに倒れていく陰が見えた。


「まさかっ!」


息を飲み、窓へと駆け寄る。


カーテンを開けて確認してみると、山の木が雪の重みで倒れているのが見えた。


幸いにも倒れたのは一本だけみたいだが、それは電線に引っ掛かって止まっていた。


「まずい、電気が切れるかもしれない!」


松野さんが叫んだ時だった。


電線で止まっていた木が再び動きだしたのだ。


バキバキバキッ!


鈍い音と共に電線が切れる。


同時に電気が消えた。


「キャア!!」


弘子の悲鳴が聞こえてくる。


「みなさん落ち着いて! 懐中電灯がありますから!」


松野さんが叫びながら部屋を出て行く。


「これって……電話も通じないんじゃ……」


棒立ちになっていた弥生が呟く。