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元々久遠さんはどこか変な人だった。


他人に関心がないのか、自分の世界に入り込んでいるようだと感じていた。


でもまさか、部屋で首を吊っているなんて思ってもいなかった。


あたしは尻もちをついたまま起き上がることができななかった。


全身から血の気が引いていき、正常な判断ができない。


大柄な小沼さんと松野さんが2人で久遠さんをロープから降ろしている様子を、呆然として見つめていることしかできない。


弥生は壁に背を持たれ、両手で口を覆って愕然としているし、弘子は部屋の入口まで逃げて戻ってこない。


「久遠さん、しっかりするんだ!」


小沼さんが懸命に声をかけ、久遠さんの体をベッドに横たえる。


その時だった。


久遠さんの指先が赤く染まっていることに気がついた。


なんだろうかと気になったが、ジッと見ていることができなくてすぐに目をそらす。


「誰か、救急車を!」


松野さんが叫び、ハッと我に返った。


そうだ。


のんびり座っている場合ではない。


早く救急車を呼ばないと!