久遠さんが昨日何時に寝たかまで知らないけれど、時刻はもうすぐ8時になりそうだ。


久遠さんもスキー目的で宿泊しているのだろうから、そろそろ起きていいはずだった。


「久遠さん、開けますよ?」


松野さんがそう言ってドアノブに手をかける。


しかし、しっかり施錠されていてびくともしない。


「少し時間を置いてまた来ましょうか」


もしかしたら、朝食を食べている間に起きてくるかもしれないし。


そう思った時だった。


小沼さんと弥生と弘子の3人が様子を見にやってきた。


「起きないんですか?」


小沼さんが聞く。


「はい」


あたしが頷くと、小沼さんがドアノブを握って鍵を確認した。


「おーい、久遠さん! まだ寝てるのか?」


大柄な小沼さんがドアを叩くと大きな音が響く。