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「今日の献立は和食です」


シェフの松野さんが用意してくれたのはこの山で採れた山菜とジビエ料理だった。


春の間に沢山の山菜を取って、漬物などにして保管しておくのだそうだ。


新鮮なうちならテンプラにして食べられるらしい。


「どれも美味しいね」


松野さんは自分の腕はまだまだだと言っていたが、その料理はどれも絶品だと言ってよかった。


普段食べられないものだから、余計に美味しく感じる。


「これはなんの肉ですか？」


よく焼かれた肉を見て小沼さんが聞く。


その瞬間松野さんは一瞬戸惑った表情を浮かべて小沼さんを見つめた。


小沼さんは笑顔を崩さない。


「それはシカ肉です。地元の料理が捕ったものなんですよ」


松野さんはどこか緊張した様子で返事をした。


「とても美味しいです」


小沼さんの言葉に松野さんはホッとしたように息を吐きだした。


お客さんからの評価を過剰に気にしているのかもしれない。