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それからあたしたち2人は弘子の部屋に行き、1時間ほどおしゃべりをした。


トナカイの間も雪の間と同じ間取りで、窓から見える景色は少し高くなるだけで変わらなかった。


ただ、1人でダブルのベッドを使えるのは少し羨ましくもある。


「みなさん、お食事の準備ができました」


呼び捨てにできる仲になったとき、そんなアナウンスが流れた。


廊下へ出てみると小さなスピーカーが取り付けられている。


階段を下りていくと丁度小沼さんと久遠さんと鉢合わせをした。


「どうぞ」


小沼さんが観音開きの扉を開いてあたしたち3人を先に誘導してくれた。


「ありがとうございます」


小沼さんに礼を言い、横目で久遠さんへ視線を向ける。


久遠さんは広間にいたときと同じであたしたちのことなど視界に入っていない様子だ。


やっぱり変わった人……。


あたしはそう思い、食堂へと足を進めたのだった。