ネットでこのペンションを見つけた時いいなと思ったのは、間取りも料金も前部屋共通だったところだ。


どの部屋の方がランクがいいとか、どの部屋の方が安いとか、そんなこと気にせず予約を取ることができた。


あたしたち高校生にとって宿泊施設を使うのは贅沢だ。


かといってあまりにも落差のあるホテルなどに泊まるのもなんだか気分が悪い。


そんなときに見つけたちょうどいい値段の、ちょうどいい部屋。


広間を出て向かい側の扉を開けると、長い廊下が続いていて、その右手が客室になっていた。


手前から3番目があたしと弥生が泊まる部屋だ。


隣の部屋はポインセチアの間と書かれていて、そこは大柄な小沼さんの部屋になっていた。


「あたしの部屋は2階か……」


廊下に貼られている間取りを確認して弘子が呟く。


みると扉を開いて右手には2階へと続く階段があった。


下に3部屋。


2階に3部屋の計6部屋が宿泊用の部屋になっているみたいだ。


あたしと小沼さんと久遠さんの部屋が1階。


弘子の部屋だけが2階だ。


「なんだか寂しいなぁ。ねぇ、暇なら遊びに来てね?」


弘子があたしと弥生を見て声をかける。