「だって煌君優しいもん。
あの時も咄嗟に私を助けようとしてくれたでしょう?
私……凄く嬉しかった。ありがとう煌君」
私は、ニコッと笑顔でお礼を伝えた。
やっと、ちゃんとお礼が言えた。
誰が悪いとかではなく、その人が何をしてくれたかが大切だと思う。
煌君は、確かに獣族の皇子だけど
彼は、優しくて頼もしい人には変わらない。
すると煌君は、背中を向けてしまった。
怒ってしまったのかな?と心配になっていると……。
「……一緒に帰るのなら秘密基地でも行くか?」と言ってくれた。
「うん、行く~。あ、でも一度帰ったらね」
私は、嬉しくなり煌君の横に行くと一緒に歩いた。
少し照れているのか耳まで赤い。
それが可愛いと思ったし、嬉しかった。
一緒に山道付近まで向かった。
ここを登れば、秘密基地がある。
それにキョウ様の所有する山なので余程以外は安全だろう。
……そう思っていた。
するとその時だった。パッと私と煌君の前に何かが飛び出してきた。
驚いて見ると小さな男の子だった。
しかし獣の耳があり、茶色い丸いしっぽに鋭い爪があった。
見た目は、私達より小さいが獣族の人型の子だ!
「妖精族……よくも俺の父ちゃんを!!
絶対に許さねぇ!!」
えっ……?
すると獣族の男の子は、鋭い爪を尖らせて私に飛びかかろうとしてきた。また!?
私は、怖がって身体を硬直させた。
そうすると煌君は、すぐに私の前に立つとその男の子に足蹴りした。見事にお腹に命中する。
すると変身が解けて小さなクマになった男の子は、コロコロと転がり倒れてしまった。
く、クマだ……!?
私は、唖然としながらそれを見ていた。
煌君は、平然としながらもギロッとその小さなクマの男の子を睨み付けた。
「お前……妖精族に殺されたクマの子供か?」