煌君は、恥ずかしいのか頬を赤く染めていたが
私は、嬉しそうに手をギュッと握っていた。
 そして、しばらく歩いていると山が見えてきた。

 私達が住んでいる山ではないが。
緩やかな山道のところに公園があるらしい。
 すると黙っていた煌君が……。

「ここら辺は、獣族が管理している山だ!」

「えっ?そうなの?」

「まぁな。だが基本獣族は、人間を襲ったりしない。
 襲えば、自分達が住みにくくなるし排除されてしまう。
だから共存するように掟で決められている。
 だが、たまにそれを犯す奴が居る。
それを取り仕切るのは、獣族の中で1番偉い皇帝である俺の親父だ!」

 そうなんだ!?煌君のお父さん凄いなぁ……。
獣族と妖精族は、天敵だ。
 なので必然的に煌君のお父さんとは、敵になってしまう。
 だけど、皇族とか1番偉いと聞くと素直に凄いと思ってしまう。

「凄いね……煌君のお父さん」

「ただ偉そうなだけだろ?俺は、嫌いだね。
 兄弟でも生き残った奴を次の跡継ぎにしようとするような残忍な父親だぜ。
  例え特別な血を持っていようが……その方針は変わらないとか言いやがる」

 不満そうに話す煌君の表情は、暗い感じだった。
父親に不満を持っている様子だった。煌君……。
 私は、名前を呼ぼうとした時だった……。
「キャアッ!?」と悲鳴が飛ぶ。

 私と煌君は、慌てて前を見ると1匹の大型犬が、先頭の先生や生徒達に唸っていた。
 あの犬は、ドーベルマンだわ!!

 すると大声で吠えだし生徒達に向かおうとしてくる。
 前に居た小山先生は、生徒達を守ろうと必死に追い払おうとしていた。

「な、何でドーベルマンが!?」

 飼い主が何処かにいるのだろうか?それとも野犬?
でもドーベルマンが野犬になるなんてありえない。
 煌君も驚いた表情をしていた。