「違いますよ~妖精です。
今は、キャラ弁が流行っているみたいなので、私もカレンのために作ってみたんですよ!」
その雑誌には、キャラ弁の作り方の特集が載っていた。どうやらこれを見たらしい。
私のためにキャラ弁に挑戦してくれたのは嬉しい。
しかし芸術センスが……。
「お前……想像力も芸術センスも無いんだからさ
普通の弁当にしろよ?飯は、旨いんだからさ……」
「うるさいですよ……シン。
あまり言うと朝ご飯抜きにしますよ?」
「何でそうなる!?」
揉めている2人を無視して私は、お弁当を改めて見る。
形は、微妙ではあるが朝早くから頑張って作ってくれたのだろう。そう思うと胸が熱くなった。
そういえば……お母さんも。
入院で遠足に行けないことに泣いていた私。
母は、そんな私のために可愛いキャラ弁を作って持ってきてくれた。
病院食だから、あまり食べられなかったけど、それが嬉しかった。
今、考えると母の愛情を感じて余計に切なくなった。
私は、お弁当を見ながら目をうるうるさせた。
「カレン。どうかされましたか!?
そんなに嫌でしたか?私のキャラ弁は……」
「ううん、違うの。昔を思い出しただけ……」
「カレン……」
ルイは、申し訳なさそうな表情をしていた。
いけない、早く涙を引っ込めないと……。
手で涙を拭いながら、えへへと笑って見せた。
するとシンが壁掛けの時計を見ながら……。
「それより朝飯を食べなくてもいいのかよ?
そろそろ食べないと間に合わないぞ?」
「えっ!?あ、本当ですね。早く作らないと」
時計を見るとすでに時間が過ぎていた。
ルイは、慌てて残りの朝食を作りにかかった。
その光景を見ているとシンは、ポンッと私の頭を撫でてきた。