「そんなの当たり前でしょ!
実家に帰らずに、こちらに居候するなら手伝ってくれてもいいと思いますが?」
「えっ~めんどくせーな。
実家は、おふくろがうるさいから、帰らないだけだし」
呆れながら言うルイに対してシンは、めんどくさそうにしていた。
どうやらめんどくさがり屋のようだ。
しかも口うるさいからと実家に帰らないとは、私から見たら羨ましい限りだ。
私は、帰りたくても帰れなかったから……。
「とにかく、帰る気がないなら手伝って下さい。
じゃないとシンシアおば様に言いつけますよ?」
「……へいへい、分かったって。
俺も色々忙しいんだけどなぁ……」
シンは、ブツブツと文句を言いながら私をあやしていた。
本当にいいのかしら?
申し訳ないと思いながらもこの身体では、どうしようも出来ない。
私は、そのまま2人に面倒を見てもらうことになった。
しかし、いざ面倒を見てもらうと2人は、どういう人物かハッキリと分かってきた。
ルイは、基本的に真面目で紳士的だ。
面倒みのいい優しいお兄さんみたいな存在をしている。
シンは、その逆だ。めんどくさがり屋で口が悪い。
しかし何やかんやと言いながらも子供好きなのか、遊びに付き合ってくれる。
こちらも面倒みのいいお兄さん的存在だった。
そして三つ子も騒がしいが、積極的に世話をしてくれる。
そのお陰で私もすくすく成長する……。
5ヵ月後の春頃ぐらいには、ハイハイが出来るようになり、一言か二言なら話せるまでになっていた。
やはり妖精として生まれ変わったせいか、人間の赤子と違い成長が異常に早かった。
今日は、ルイとシンに連れ出されて外に出掛けた。
お弁当を持ってピクニックだ。
転生してから初めて外に出ることが出来た。
転生前も具合がいい時だけ病院内での散歩は出来た。
しかし症状が悪化してからは、それも出来なかった。
だから本当に久しぶりだ。
ルイに抱っこしてもらい屋敷内の外に出ると、たくさんの小さな妖精達が飛んでいた。
うわぁ~凄い!!本当に妖精の世界なんだ!?
しかし驚くことに皆小さかった。
妖精だけではない。建物までも小さい。
自然と生えている木の穴の部分を上手く使いお店や住宅として生活にしている妖精も居た。
まるで私達が巨人になったような気分だ。
驚く私にルイは、クスクスと笑っていた。
「驚きましたか?この街は、準妖精のために造られています。
大きくなれませんので、全て小さいままなんですよ」