秘密基地と言ったら誰にも言いたくない特別な空間だ。
私も秘密基地とか憧れたものだ。
 しかし、そんな特別な場所を種族が違う私に教えてもいいものだろうか?
 すると煌君は、目線を逸らしながら……。

「……別に。ここなら、さっき見たいに邪魔が入らないし。
 俺とお前は、種族の違う天敵だ。
下手に関わり合いを持っていると周りに知られたら、色々とうるさいからな」

 ちょっと照れくさそうにそう言ってくる。
ということは、関わり合うことは、否定しないんだ?
 この前まで話しかけても気にも止めてくれなかったが、教えてくれたってことは、そういう意味だろう。
 私は、それが分かると嬉しくなった。

「じゃあ、2人の秘密基地だね!」

 私は、笑顔でそう言った。特別な場所だ。
煌君は、何も言わなかったが頬を赤く染めているのを見ると満更ではないと思う。フフッ……。

 しかし、まさか小さなオオカミを隠した場所が秘密の基地になるなんて思わなかった。
 意外と世間は、広いようで狭いと思った。

 そして遊ぼうと言ったら、早く帰れと煌君が言うので、早々とバイバイした。残念……。
 そういえば私も真っ直ぐ帰らずに道草をしている。
あ、早く帰らないと……!!

 ランドセルを背負うと慌てて帰宅した。
妖精界との繋ぐ山だったので、すぐに帰れたのだが、帰りが遅いと心配していたルイに叱られる。

「一体何処で道草をしていたのですか!?
 あまりにも帰りが遅いから心配して、またシンに迎えに行くように頼んだのですよ?
 遊ぶのは、いいですが一度帰ってからにして下さい。
何も無かったから良かったですが……」

「……ごめんなさい」

  叱られてしゅんと落ち込んでしまう。
確かに一度帰らずに遊びに行くのは、周りに心配をかけてしまうだろう。

「まぁまぁ、無事に帰って来たのだからいいじゃねぇーかよ?」

「よくありません。そういうのはきちんとしないと、教育にもよくありませんからね。
 シンもきちんと叱って下さい!」

「へいへい……」