「……ついて来い。いいところを教えてやる」

「えっ?いいところ……?」

 私が聞き返すが煌君は、気にすることなく歩き出してしまった。あ、待ってよ~!!
 私は、慌ててランドセルを背負い帽子を被ると煌君の後を追いかけた。

 しばらく歩いていると小さな細道に来た。
するとそこを通り抜け、さらに歩いて行く。
 そうしたら、しばらくして……あれ?私の住んでいる山道のところにたどり着いてしまった。

 そのまま歩いてついて行く。
そして見覚えのある洞穴にたどり着いた。
 あ、小さなオオカミを隠した洞穴だ!!
あの日以来、訪れていないが確かにあの洞穴だった。

 すると煌君は、目をつぶり呪文を唱える。
そうすると穴の部分が歪み出した。えっ……えぇっ!?
 構わずに煌君は、中に入っていく。

 私も慌てて入ると歪みが消えて行く。
すると穴の中に入ると煌君は、近くにあったランタンに火をつけた。
 ランタの光で中がよく見えるようになる。
そうすると中には、いろんなモノが置いてあった。
 これは……!?

「俺専用の秘密基地だ。
 丁度いい洞穴があったしこの辺は、妖精族が管理しているから獣族は、下手に出入りが出来ない。
 気休めぐらいだが、結界も張ったから外には、ただの洞窟しか見えない。
 妖精や獣にも簡単には見つからないだろう」

「秘密基地!?で、でもどうしてココに?」

「……言っただろう?いい隠れ家だからだ。
たまたま見つけた……」

 そのたまたまにしても意外だ!
まさか、小さなオオカミを見つけた時の洞窟を秘密基地にしていたなんて……。
 私は、驚くが何だかワクワクしていた。

「すごーい!!秘密基地って、なんかいいね」

 私は、キャッキャッと喜びながら、洞窟の中を駆け寄った。
 あ、ちゃんと生活出来るようになっている。
眠れるように毛布やキャンプみたいな道具も設備していた。
 秘密基地ってよりキャンプの気分を味わえそうだ。

「あれ?でも、どうして私に教えてくれたの?」