「いつもは、遅いとか言って怒るくせに。
 どうしちゃったんだよ?キラ様。あっ?
あぁ……その子を守るためか?」

「ち、違う。お前は、女に対して見境ないからだ!」

「見境ないって……いくらなんでも幼女に手を出したりしないよ。なぁ?お嬢ちゃん」

 ニコッと私に笑ってみせるリズって人。
怪しい……。
 その笑みが余計に怪しいと思った。
しかし、どちらにしても煌君が私を守ろうとしてくれたのは、意外だった。
 私は、そのまま煌君の後ろに隠れた。

「あれ?怖がらせちゃったかな?
 心配するなって、彼女を傷つけたりしない。
俺は、あくまでも煌様の護衛を任せられている身だからね。無駄な労力はしない」

 そう言うとこちらに近づいてきた。
ち、近づいてくる……。
 ビクビクしながら隠れていると煌君は、ボソッと私に……。

「心配するな。変な真似をしたらアイツでも噛みついてやる」と言ってくれた。

 煌く……ん?
するとリズは、私達の前に来ると同じ姿勢になるようにしゃがんだ。

「二度目だね?君は、妖精族のお姫様だよね?
 俺は、リズ。以後お見知りを……」

 ニコッと優しく微笑むと私の手を取り甲に口づけをしてきた。わぁっ……!!
 紳士的でキザな態度に心臓がドキッと高鳴った。
しかし、その手をチョップで妨害したのは、煌君だった。

「言っているそばからやるなよ!変態野郎」

「キラ様……酷いな」

 ギロッと睨み付ける煌君にリズは、苦笑いしていた。
2人は、護衛と主人らしいが、仲が悪い訳ではないようだ。私も苦笑いする。

「どうも俺のところの皇子は、嫉妬深いようだ。
 仕方がない。これならマシじゃない?」

 リズって人は、そう言うとまたロシアンブルーに戻った。か、可愛い……。
 人型は、怖いと思うがアッシュブルーの綺麗な毛並みに真ん丸瞳を見ると可愛いと思ってしまう。