正体がバレて心臓がドキッとした。
どうして分かったのだろうか?
 もしかして入学式の時にルイ達と一緒に居たから?

「白銀の髪は、妖精族に多い髪質だ。
それに人間の匂いがしない……妖精族の匂いがする」

 人間の匂いがしない……!?
意外な言葉に驚くが、やはり彼は、獣族なのだと理解した。嗅覚がいいようだ……。
 それなら隠す必要もないだろう。

「そうだけど……あなたは、獣族なんでしょ?」

「……そうだ。俺は、獣族の第8皇子。
 俺が誰か分かったのならもういいだろう?
人間も妖精族とも関わる気はない。
 特に妖精族にはだ!」

「な、何で?」

 すると煌君は、後ろを向いた。
そしてチラッと私を睨み付けるように見てきた。

「……そんなの決まっているだろ。
 妖精族は、天敵だからだ!
それ以上でもそれ以外でもない」

 煌君は、そう言うと足を蹴り上げると壁の上に登り
そのまま壁と壁を飛び越えるように蹴ると行ってしまった。
 
 私は、ポツンと取り残されてしまった。
妖精族だからと断られてしまったわ……。
 確かに私達は、天敵なるのだろう。
ルイ達にも関わると言われたばかりだ。

 でも、何故だろう?
睨み付けられたが寂しそうな表情にも見えた。
 関わったらダメなのは、理解しているつもりだが、それ以上に放っておけない気がした。

 ずっと突っ立ている訳にもいかず、私は、元の道に戻ろうとした。
 しかし、あれ?何処から来たのかしら?
走って追いかけてきたから、元の道が分からない。
 えっ?どうしよう……迷っちゃった!?

 私は、迷子になってしまったようだった。
この街は、まだ道順が詳しい訳ではない。
 せ、せめて知っている道に出れば……。
私は、キョロキョロしながら歩いていると何処からか声が聞こえてきた。

「あ、居た。カレン……お前何処行っていたんだ!?」

 よく見ると、シンが小さくなって飛んでこちらに向かって来ていた。あ、シンだ!!
 知っている人が迎えにくれてホッとするが、涙が出てきた。