「キョウ様は……カレンの能力をご存知なのですか?」
「私に知らない事などないぞえ。
カレンの能力……いや彼女自身が、今後の妖精族を大きく変えて行くかも知れぬ。
そのためにもカレンの能力を目覚めさせる必要性がある。
だから人間界の学校に行かせるとしょう」
ルイの心配を余所にキョウ様は、そう入ってきた。
私が今後の妖精族を変える……?
えぇっ……私がそんな能力があるなんて思えない。
私自身が驚いてしまった。
その言葉に周りも言葉を失っていた。
するとキョウ様は、スッと立ち上がり私達の横を通り抜ける。
「キョ……キョウ様!?」
キルア様が声をかけるがキョウ様は、障子の戸を開けた。すると……えっ?
まだお昼が過ぎだったはずの外の景色は、すでに真っ暗になっていた。
夜になった空には、綺麗な満月が出ていた。
「夜になってる……!?」
私は、驚いて口に出してしまった。
大事な話しをしていて時間が過ぎていた事に気づかなかったのかしら?
そうだとすると長い時間お邪魔したことになる。
それは、大変だと慌てていたらキョウ様は、こちらを振り返った。
「綺麗な満月じゃのう?満月は、能力を増幅させる力を持つと言われておる。
特に獣族のオオカミなどは、もっとも獣の血が騒ぎ能力を発揮させるようじゃ」
キョウ様は、神秘的な表情でそう語ってきた。
満月がキョウ様の白銀の髪を照らし、より輝きを増し、その美しさをさらに際立てた。
私は、オオカミと聞いて内心ビクッと肩が震えた。
も、もしかして気づいているのかしら?
私が小さなオオカミを助けたことを……。
チラッとシンを見ると顔色が真っ青になっていた。
どうやらシンもそう感じ取ったのだろう。
責められている訳ではないが、何だか意味深い発言に感じ取れて恐怖を感じた……。
キョウ様は、クスッと静かに笑う。
そして戸を背中から静かに閉めた。
「心配するのも分かるが、過保護になり過ぎるのもどうかと思うぞ?
私は、若い衆の切り開く未来を見てみたい。
それは、新しい道標になると思うがのう……?」