前に妖精達は、自分の役割があると言っていた。
それでルイは、私の世話係を任されたのだけど本来は、何の仕事をしているのだろうか?
私が来てから働けているのだろうか?
朝から晩まで一緒に居るけど……。
心配しながら見ているとルイは、クスッと微笑んでくれた。
「あぁ心配いりませんよ。それが仕事なんです。
我々は、役割を果たすとキョウ様から褒美を頂けます。
準妖精達もそうです。
自分の能力に合わせた役割を貰い、それを遂行すると褒美にお金や宝石を頂けます。
それに援助や格安で提供して頂けるので、妖精界で貧乏な生活をしている方は、1人も居ません。
だからか、争いも生まれないのでしょう」
お金と宝石が褒美に!?
ルイの言葉に私は、驚いてしまった。
役割が仕事の代わりで、それに合った褒美がもらえるなんていいわね。
つまりよくない噂のブラック企業が無いってことよね?それは、魅力的だ。
人間の世界では、勤務外でも働かせられ残業や責任や仕事を大量に押し付けてくるらしい。
私の前世は、まだ16歳の未成年だった。
だから、そのような経験はなかったけど、テレビで見て心配になったくらいだ。
この世界には、そういうのが無いと聞いて内心ホッとした。
すると開いている窓から小さくなったシンが帰ってきた。
中に入るとポンッと共に大きくなった。
さっきまで会議に呼び出されて出掛けていた。
「お帰りなさい。どうでした?会議は……」
「あぁ、すげぇ騒ぎになっていた。
特にアルフレットじじぃとイルじじぃが、今回の件のことで、かなり激怒していた。
これは、宣戦布告だ!って……」
「そうでしたか……。それで、どうなさると言ってましたか?」
「とりあえず、あのクマの死体は、送り返したみたいだし
しばらくは、警戒して何もしてこないだろうって結論になった。
じじぃ達は、最後まで納得してなかったけどな」
「まぁ、無難の判断でしょう。
戦争にでもなったら、ただではすまなくなる。
それは、キョウ様も望んではないでしょう」
せ、戦争!?
私は、その言葉を聞いて驚いた。
そんなのは嫌だ。争い事は苦手だ……。
「あ、ちょい……メッよ!!(争いダメよ)」
「大丈夫ですよ。そんなことはさせませんから。
キョウ様が、そうならないように導いてくれます。
我々の力は、獣族には負けませんので」