情報……?
ルイが顔を上げると姿が見えた。
 私は、それを見て愕然としてしまった。
あの暴れていたクマが死体として転がっていた。
 白目を向いていて変な風に曲がっている。
あの音は、骨が折れた音だったの?

 私は、その理由が分かると恐怖で身体が震えた。
思わずルイにしがみつき、視線を逸らした。
 いつ?あの一瞬で折ってしまったのだろうか?
目を隠されたとしても1分も経っていないのに……。

「……はい」

 するとルイは、短く返事をすると私をシンに預けた。
えっ?何をするの!?
 私は、恐怖で嫌々となるが、そのままシンに抱っこしてもらった
 ルイは、言われるがまま、クマの死体のところ向かう。
そして、そばまで来るとしゃがみ、クマの頭の部分を触れる。

「た、確かに……このクマは、正気を失ってますね。
 それだけではないようですが……うん?
シン。今から私が伝えることを記憶して下さい」

「えっ?あ、あぁ……」

 シンは、ルイの伝えた言葉を頭に記録していた。
その内容には、半分難しくて分からなかったが、驚かされるものだった。
 どうやらこのクマは、獣族の掟を破った追放者だった。
人間を噛み殺したことで、獣族に危険を向くことを恐れた長達は、このクマを追放した。

 しかしそれだけでは飽き足らず
能力を使い、その矛盾先を妖精族に押し付けた。
 共倒れになればいいと思ったらしい。
 操られたクマは、それで結界に体当たりして破ろうとしたという話らしい。

……なんて酷い話だろうか?
 人を襲うクマは、確かに危険だと判断される。
さっきのように危険だと判断して捕まえに来るだろう。
 しかし仲間なのよ?
罰を与えるとかではなく、共倒れ覚悟で操るなんて最低なことじゃない!!

「さすがと言うべきか、随分と酷いことをするもんだな?獣族って奴は……」

「そうですね。私から取れる記憶は、以上です。
どうなさいますか?」

 ドン引きするシンと逆にルイは、そう言った。
キョウ様の判断に従う気だろう。
 するとキョウ様は、扇子を広げてまた口元を隠した。

「獣臭がするクマなど要らぬ。
 キルア。後でもいいから、それを獣族の長に送り返してやるとよい。見せしめとしてな?
 それとセイ。送り返す前にクマの記憶を消してやりなさい。余分な記憶など残さぬようにな」