「結界は、強力ですから妖精以外は通れません。
もし通れてもキョウ様なら間違いなく気づくでしょうし……。
それを通れるとしたら何か特殊な力が働いているのかもしれませんね?」
特殊な力が働いている?
その力は、何なのか分からないが、不安になってきた。
ギュッとルイの着物を握り締める。
「心配いりませんよ、カレン。
あなたは、我々が守りますから」
「そうだぜ?それにお前は、赤子でもデカいから、まず食われることはないわな。
噛みつかれない限りは……」
か、噛みつかれる!?
シンの言葉に背筋が凍った。痛いの嫌い!!
「だからカレンを怖がらせないで下さいってば。
余計に怖がらせるだけなんですから……」
「あ、すまん、すまん」
呆れながら注意するルイに対してアハハッと笑うシン。
脅かせないで……本当に怖いからと思った。
どうやら私の知らない世界は、もう1つあるようだ!
獣族に爬虫類族。どちらも怖いみたいだし。
私は、気をつけようと心に誓った……。
それから数日後が過ぎたが、何も起きなかった。
多分怪しい輩は、逃げたか帰ったのだろうと結論になったが、警備は引き続きするようだった。
その間に私は、朝から掴まり立ちの練習をしていた。
座れるし、ハイハイも出来るようになったのだが、まだ立ち上がることは出来なかった。
まぁ、この年でそこまで出来るのだから凄いけど
テーブルに掴むとよいしょ、よいしょと立ち上がろうとした。しかしお尻が重い。
オムツをしているので、ズシッと重みもある。
もう少しのところで座り込んでしまった。
赤ちゃんって大変なのね。
ハァッとため息を吐いていると後ろで転がっていたシンが笑っていた。
「アハハッ……尻が重くて立ち上がれないとかウケるな」
ちょっとムッとする。
仕方がないじゃない……まだ赤ちゃんなのよ?
怒った私は、ハイハイしながらシンのところに向かう。
そして転がっていたシンの顔に身体で被せた。