光りが消えて静かになった。
恐る恐る目を開けると驚くことが起きた。
 目の前には、宙に舞う赤ちゃんが居たのだ。

 ふわふわと光りながら浮かぶ。
綺麗な白銀の髪で整った顔立ちをしていた。
 でも煌君の面影がある。

「もしかして……煌君?」

 私は、名前を呼んでみるが、眠っているのか
まったく目を覚ます様子はない。

 すると恐る恐る近づくと抱っこが出来た。
ズシッて重みが加わる。
 スヤスヤと寝息が聴こえてくるから生きているのが分かる。
 体温もあたたかくなっていた。

「良かった……本当に良かった……」

 私は、感動してギュッと抱き締めた。
涙を流しながらも……。
 そんな私をシンも抱き締めてくれた。

 ルイは、キョウ様に深々と頭を下げると私のところに駆け寄ってくれる。
 それを見てキョウ様は、静かに微笑むように扇子で口元を隠しながら立ち去るのだった……。

 しかし、それだけでは終わることはなかった。
その夜に、本家の屋敷では……。

「しかし、いくら“悪魔の声”の能力を手に入れるためだとしても
 あのような者を転生させて良かったのですか?
あの者は、獣族の皇族だったもの。
 妖精になったとしても危険なのでは?」

「いいんじゃない?
 キラ様は、他の獣族に比べて大人しく優しい。
それに転生させた方が、何かと都合がいい。
 それにまだ子供。いくらでも対応が出来る。
ですよね?キョウ様?」

 煌君を転生させたことを心配するキルアだったが、
リズは、陽気にそう言ってきた。
 しかしキョウ様は、窓から月を眺めていた。
そしてチラッとリズ達を見る。

「大きなモノを手に入れるためには、犠牲がいる。
 しかし何か成し遂げたのなら褒美が必要であろう?
それが世の原理。
 キラって者は、我が娘を庇ってくれた。
それにその能力は、いずれ私の役に立つであろう。
 そのための褒美だ。あたたかく見守ってやるとよい。
リゼルも良くやった。褒めて遣わす」

「ありがたき幸せに存じます」