涙を流しながら訴えた。
どうしよう……かなり衰弱していたのに、私のために無理して庇ってくれたからだ。
だから血が余計に出て……。
しかし煌君は、うっすらと目を開けた。
「あ、煌君!!私のこと分かる?煌君……」
『うるせ……よ。カレン……』
「う、うるさくてもいいの。この際……。
大丈夫だからね。今からお医者さんを呼ぶから」
『……もう……助からねぇ……よ。それより……』
煌君は、弱っている前足で私の頬に触れた。
弱々しい前足は、まだあたたかさがある。
私は、余計に涙が溢れてきた……。
『俺……妖精は嫌いだが……お前……のこと……嫌いじゃなかった……ぜ』
ふわっと優しく笑う煌君。
だが、そのまま意識を手離してしまった。
スルッと前足が地面に落ちた。
う、嘘っ……煌君!?
体温が下がって行くのが分かる。
冷たくなって行く煌君を見て私は、がく然とした。
「やだ……嫌だよ……煌君。目を覚ましてよ!?
一緒にまた遊ぼうよ。ねぇ煌君!!」
私は、泣きながら必死に揺する。
するとシンは、私をギュッと抱き締めてやめさせた。
それが、どういう意味か分かると余計に涙が溢れて私は、大声を出して泣いた。
その声に私を捜していたルイが気づいて洞穴に入ってきた。
「カレン……?こ、これは、どういうことですか!?
キョウ様まで、いらっしゃるなんて?」
今までにない状況に驚くルイだった。
するとそれに対して最初に言葉を出したのは、リズだった。
リズは、この状況になっても余裕の表情で、それを眺めていた。
「何って……見て分からないかい?
獣族が姑息な手を使い君とこのお姫様に手を出そうとして、見事に返り討ちにあったのさ」