『俺は、どっちみち助からない。
ハァッ……最期ぐらい自分のやりたいようにやる』
そう言った煌君の身体は、衰弱したように弱々しくなっていた。歩くのもやっとそうだ。
まさか死ぬ気で私を助けるつもり?
嫌だ……そんなの。
「ダメだよ。一緒に逃げようよ!?」
『馬鹿言え。コイツらから逃げるにはそれしかない。
心配するな……俺は、こう見えても強い』
息を切らしながら必死に言っているが頭の傷は、深く血がポタポタと止まらずに垂れていた。
このままだと出血多量で死んじゃうよ……。
すると双子は、クスクスと笑っていた。
「今の話聞いた?兄者。
コイツ……あの状態で僕達に挑むらしいよ?」
「馬鹿は、どっちだ?
“悪魔の声”ならまだしも……君の能力は、まだ不安定だ。
この前は、たまたま上手く発動したみたいだけど、何回も出来る訳ではないだろう?
幼い今だからこそ、殺すチャンスなんだよね」
双子の1人が、そう言うと手を挙げた。
すると手がハンマーのように形に変わった。
「僕の能力は、”怪力ハンマー“なんだよね。
これで、また君の頭蓋骨を潰してあげるよ。
今度は、手加減しないけどね?」
ハンマーになった手は、煌君目掛けて叩こうとした。
だ、ダメ……!!
「や、やめてー!!」
私は、泣きながら叫んだ。
すると、その時だった。私の身体が強く反応して光り出した。
どうしてか分からないけど……。
そうしたら双子の1人のハンマーになった手のハンマーが消えて普通の手に戻った。
「えっ……?」
双子が驚いた表情をする。もちろん私も。
すると双子の1人に目掛けて誰かが回し蹴りをする人物が現れた。
双子の1人は、吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。