(鶏のもも肉か。唐揚げにでもしようかなー)

陽茉莉は時計を確認する。まだ六時過ぎなので、揚げ物でも七時過ぎには作り終えることができるだろう。

 買い物を終えたその足で、駅の近くにある民間の学童保育にお迎えに向かう。
 受付で待っていると、「お姉ちゃん!」と部屋の奥から悠翔が駆け寄ってきた。ぽすんと腰に抱きつかれ、陽茉莉はぎゅっと抱きしめ返す。

「お待たせ。今日もたくさんお友達と遊んだ?」
「うん! 椅子取りゲームしたよ」

 悠翔は身振り手振りを交えて、説明する。

 悠翔は今八歳で、小学二年生だ。普段は学校が終わった後、夜の八時まで預かってくれる民間の学童保育に通っている。