高塔は再び酒を飲み干すと、相澤のグラスにも注ぐ。

「まあ、半妖と人間だと大変なことも多いと思うけど、あの子なら大丈夫なんじゃない? 悠翔のこともすごく可愛がっているし、そもそも礼也の両親なんて純粋な狼神と人間だったわけだし」

 相澤は徐々に満たされてゆくグラスを見つめる。
 陽茉莉との関係をはっきりさせたほうがいいというのは、相澤もずっと感じていた。

 独身の男女、しかも上司と部下が一緒に住んでいるなど、普通に考えると非常識な状況だ。もしも会社の同僚などに公になれば、相澤だけでなく陽茉莉まで立場が悪くなる。

「まだ〝清廉潔白な間柄〟なわけ? あれ聞いたとき、悪いけど大笑いした」

 その下りについては、後日笑い話として高塔から聞いた。陽茉莉が詩乃のことを相澤の恋人だと勘違いしていて、そう言ったと。