「こっちで店が起動に乗り始めてから…しばらく経ったころだ。雪穂が来たんは…」

そこから淡々とした口調で店主は語り始めた。

「地元で住まれんようになった雪穂が突然ここに訪ねてきよってな。事情を聞いたワシは、とりあえずここの近くのアパートを世話して。仕事は…雪穂が自分でみつけてきよったんだ」

「その…事情というのが、先日言われた?」

「そげだ…。さすがのアンタでも…聞いたら雪穂とは関わらんがええと思うかもしれん…」

そんな…
どれだけ酷いことなのだろう?

「どんな事情であろうと受け止める覚悟です。何を聞いても驚きません…」

「そんな簡単な話じゃねぞ?…アンタが…想像もしてないようなことだったら…どげする?」

俺が想像もしてないようなこと。
ならば考えても仕方ない。

「たとえ…彼女が犯罪を犯していたとしても…そこにはそれだけ深い事情があったのでしょう…。それを俺が…救えたら…」

「犯罪じゃない。大丈夫だ。プライベートな事情での…。それもかなり…女にとっては…深刻だろ…」

女性にとって深刻な問題。
やはり…恋愛関連か…。
それなりの年齢である以上、経験があってもおかしくはない。