そこで声を出したのは店主だ。

「どんなカッコいい告白すんのかと思っとったに、えらいかわいい告白やのぉ」

だからそれは…仕方ないだろ?
羞恥心からなのか、俺の顔は火が灯っているかと思うほど熱くなる。

「おじさん…おじさんも知ってたの?」

「あ?何が?」

「何がじゃないわよ。その…今、加賀見さんが言った…」

「こん人が雪穂に惚れとるいう話か?」

そんなはっきり…
いや、正しいから別にいいのか…。

「そう…なのかわかんないけど、おじさん知ってたのならなんで止めなかったの?」

「止めたがな。散々やめとけ、言うたが。ほんでもこん人が諦められん言うけん」

「それでも!…おじさんは…わかってるじゃないの…。あたしは…」

「雪穂。いつまでも過去に縛られたまんまで生きてくんか?もうええ。お前も幸せにならないけん」

「だからって…」

「お前は加賀見さんが嫌いなんか?」

いや、待て!
ここですぐ結論とかは無しにしてくれ!
さすがに心の準備が!

「あの!それは…返事はすぐでなくても…」

思わず言ってしまう。でも本音は。
まったく考えないでいられたら困る。
だから俺は続けた。

「雪穂さん。本当にすぐに答えを出してくれとは言いません。考えてもらえませんか?」