店主が思いがけないことを言ったせいで彼女が俺のほうを向いた。

「どういう…こと?なんで加賀見さんが…」

「ほら!加賀見さん!雪穂に説明しちゃれ」

説明…って。今、ここで?
黙ったままの俺に店主が畳み掛ける。

「こないだの決意とやらは嘘か?はぁ…アンタの気持ちはその程度だったんか。ワシも買い被ったもんやの」

「いえ!違います!嘘なんかじゃないし、その程度なんかでもありません!」

「ほんならちゃんと雪穂に説明したれ。なんでアンタが雪穂の事情を聞かないけんのか」

「わかりました…」

俺達の会話が意味不明な彼女は訝しげに俺を見ている。

いずれは話さなければならないことだ。
それが今になった。それだけだ。


彼女に真っ直ぐ見つめられ、心臓が早鐘を打つ。
落ち着け落ち着け。

「え…っと、中上さん…いえ、雪穂さん。俺、あなたが好きです。付き合ってもらえませんか?」

うう…情けない…。
まるで中学生レベルの告白だ…。
もっとこう…カッコいいセリフで言いたかったのに。
突然過ぎて予習どころかセリフすら考えてなかった。

こんなんでよかったのか?

彼女を見ると呆気にとられたようにポカンとしている。